B04 必要機材

室長:では実際に測定する機材を揃えて設定していくぞ。その前にちょっと質問じゃ。ログスイープを再生して録音して特性を見たとする。何の特性が表示されているかな?

助手:スピーカーの特性じゃないのですか?

室長:残念ながら違うのじゃ。再生・録音のすべてをトータルした特性が測定されるのじゃ。サンプリングレートコンバーター、デジタルフィルタ、D/Aコンバーター、アナログフィルタ、アンプ、スピーカー、部屋の音響、マイク、マイクアンプ、A/Dコンバーターなどのすべてが影響する。このなかで部屋の音響特性はインパルスレスポンスを反射音の前で切り抜くことで影響を避けることができる。さて部屋を除くとこの中で特性が信用出来ないものが2つある。

助手:スピーカーとマイクですね。

室長:うむ。スピーカーの特性を測定したいのだからスピーカーの特性が不明なのは当然じゃ。だがマイクの特性が不明では正しい測定が出来ん。

助手:じゃあ実測データが付属している測定用の高いマイクを買わなければ測定する意味が無いのですか?

室長:まあ「正確な測定」が必要ならそうなるな。極端な話、特性の優れたスピーカーを出鱈目なマイクで測定して逆フィルタを作ると、それはスピーカーの逆特性ではなくでマイクの特性を補正する逆フィルタになってしまう。そんなものを使って再生しても意味は無い。だが「大体分かれば良い」という用途ならテキトーなマイクで測定しても役に立つのだ。

助手:「大体わかれば良い」という用途は何ですか?

室長:大まかな周波数特性と極端なピーク・ディップの測定だな。ただし測定データの絶対値は信用できないので、あくまで同じマイクを使った測定間の相対評価になる。あと聴感での調整が必要になる。

助手:どのマイクを使えば良いのですか。

室長:実はワシはあまりマイクのことを知らんのじゃ。まあ適当にワシの主観で言うとこうなる。

ノートパソコン内臓マイク<<安物外部マイク<ベリンガーECM8000<<アースワークスM30

助手:ちょw 最後だけめちゃくちゃ高価じゃないですか。

室長:まあM30は別格と言うことで除外するぞ。のこりのマイクの注意点を簡単に言っておこう。ノートパソコンのマイクはファンやハードディスクの動作音も拾ってしまうので出来れば避けたい。周波数特性もノイズカットするように狭くなってる場合がある。安物外部マイクは周波数特性が信用ならん。とくに低域と高域はカットされている物があるので要注意じゃ。周波数特性がよいものならほとんどECM8000と変わらない測定ができるぞ。さてECM8000じゃが最低限の周波数特性が確保されている。しかし一本毎のバラツキが結構大きいのじゃ。あと周波数特性と位相特性が700Hz以上でガタガタなのじゃ。7kHzではないので注意してくれ。周波数特性はスムージングをかければある程度つかえる。しかし位相特性の補正は高域では止めておいた方が無難じゃな。もし位相を補正するなら左右間の差をなくすように最小限の補正に留めるべきじゃ。そうそう大切なことを忘れとった。ECM8000とM30にはファンタム電源が必要じゃ。ファンタム電源を内蔵したオーディオインターフェースが必要になるので注意してくれ。当研究室では予算の関係でECM8000を使っていくぞ。

助手:オーディオインターフェースはどうですか。

室長:ファンタム電源を内蔵したマイク端子があるものならなんでも良いだろう。当研究室では手持ちのFastTrackProを使う。FastTrackProはLinuxからは44.1kの測定しか出来ないし再生が4chしかないので2wayしか出来ない。できればもっと良いインターフェースがほしいのう。たとえばPRESONUSの1818VSLなどは96kで使える上に8chのアナログ出力があるのでlinuxで使えれば4wayまでのマルチアンプシステムが構成できる。音質については分からんがの。インターフェースがlinuxで使えるかはネットで調べてから買ってくれ。分からなければ試しに買ってみて動いたかどうかネット上で報告してくれるとありがたい。

助手:適当ですね。あと必要な物を教えてください。

室長:絶対必要な物はマイクケーブルだな。マイクとパソコンの位置を離したいときにはそれなりの長さが必要になる。広い部屋なら5mくらいほしいな。それとマイクスタンドは必要だ。あとはパソコンから音が出せればOKじゃ。

では次回は録音再生の設定じゃ。

12月24日

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