D03 フルレンジスピーカーの設計

室長:では簡単にフルレンジスピーカーを作ろう。

助手:まずユニットはどう選びますか?

室長:好きなのを選べば良い。それを適当な箱に入れれば出来上がりじゃ。

助手:それじゃ困りますよ。もうちょっと詳しくお願いします。

室長:しょうがないのう。まず一番影響のある口径を選ぼう。これは単純に口径が大きいほど低音を大音量で再生できると考えてよいぞ。あと大振幅可能なユニット(xmaxが大きいもの)ほど低音再生に有利だ。逆に高域は小口径の方が有利だ。また指向性を広くしたい場合にも小口径が有利だ。

助手:結局何センチがおすすめですか?

室長:どの程度の部屋でどの程度の音量で聞くのかが分からんとお勧めも決まらない。16cmにすれば相当な大音量再生が可能になる。wilsonのsashaのミッドレンジも7インチだ。しかし小さいほど工作は楽なので選択肢の多い8cm~13cmくらいのフルレンジから選べば良いだろう。最終的には上と下を足して3wayを目指すので高域はあまり伸びてなくて構わない。低域も200Hzが充分な音量で再生できればよい。つまり何でも良い。箱を作るのが面倒で予算が少ないのならfostexのカンスピでも良いだろう。

助手:箱の大きさはどうしますか。

室長:WinISDをつかって密閉箱の容積を適当に決めれば良い。ちなみにWinISDもlinux上のwineで動くぞ。FostexのFEシリーズなどで計算するとかなり小さい値になるのでそういう場合は適当に大きめに作れば良い。どうせ測定してデジタルフィルタで補正するのでぴったり最適値でなくても構わないのだ。

助手:ところで市販スピーカーのなかにはミッドレンジがバスレフになってるのがありますね。低域をカットするのにバスレフにする意味が分かりません。

室長:うむ、本当のところは設計者に聞かねばわからない。しかしワシの推測ではクロス付近の音圧を揃えるためだろう。バスレフは密閉に比べ群遅延特性が悪いがそれはポートの共振周波数付近の話で、共振周波数の2~3倍以上では密閉に遜色ない。それなのに音圧はすこし高くできるのだ。まあデジタルフィルタで調節することにすればわざわざバスレフにする意味はないだろう。密閉にすればポートからの中高音の洩れの問題も避けられるし、なにより工作が簡単だ。

助手:箱の形はどうします?

室長:作りやすい形にすれば良い。要するに真四角な直方体だ。もちろん曲面にして箱内の定在波を防いだり、外部の角を落として回折・反射の影響を防いだりした方が音質上有利だが工作の難易度が上がってしまう。木工が得意な人は好きに作ればよいがそうでなければ単純な直方体で構わない。これでも十分よい音が出せるぞ。

助手:たしか内部の寸法比を定在波を考慮して決めるのですよね。

室長:余裕があったらな。面倒なら板の大きさから作りやすい寸法を選べば良い。内部に吸音材を入れれば高い周波数の定在波は十分に抑えられる。1:1:1の立方体でも大丈夫だ。

助手:材質はどうしますか?

室長:やはり工作のしやすい木材が良いだろう。合板でもMDFでも集成材でも何でも良いぞ。ホームセンターにでも行って手頃な板を選べば良い。

助手:材質によって音が変わるんじゃないですか?

室長:うむ。エンクロージャの材質は音に大きな影響がある。だが最初の工作ならばそんなことは気にせずに作りやすい手頃な価格の材料で作れば良い。どんな材料で作っても十分な高音質が楽しめるはずだ。

助手:厚い板を使ったり内部に補強を入れて不要振動を防がなければならないんですよね?

室長:理想をいえばそうだが、厚さ1~1.5cmの板を使えば十分な強度があるはずだ。小口径フルレンジなので箱の内容積はおそらく1~10リットルくらいだろう。軽い板で補強なしでも問題ないはずだ。

助手:えーと、まとめると8~13cmのフルレンジを適当な大きさの直方体の密閉箱に収める。材質は厚さ1~1.5cmの適当な木材、形も適当。補強もなし。内部には適当に吸音材を使用。なんかすごくいい加減なんですが大丈夫ですか?

室長:大丈夫だ、問題ない。

2013年3月17日

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